ノーリフティングケアは、高齢者にとって負担が少ないケアの一つとし、現在全国各地の介護現場で普及しつつあるようです。また、介護職員にとってもノーリフティングケアをマスターすることは、腰痛をはじめとした職業病の発生や悪化のリスクを最小限に抑えられるといったメリットもあります。そのため、利用者に不安を与えることなくノーリフティングケアを実践するために、身体介護の知識や技術を学ぶことが推奨されています。
ノーリフティングケアでは、ボディメカニクスを活用した介護方法と合わせて、福祉器具の導入がポイントになります。特にリフトは利用者と職員の双方の負担軽減につながるものとして、もっとも注目が集まっているといえるでしょう。ただし、リフトを導入するためには、介護事故の防止を前提にリフトを正しく操作するノウハウが欠かせないので、研修や勉強会が必要になります。そして、同僚と必要事項を確認して、連携がスムーズに取れる体制を築いておかなくてはなりません。
ちなみに、先進的なノーリフティングケアを導入している介護施設の中には、新人のスタッフを対象に、正しい介助姿勢について研修を行ったり、実務経験豊富な先輩がサポートをしたりしているところが多々あります。そのため、腰痛対策をしつつ、質の高い介護に取り組みたい人は、職場探しをするときには、ノーリフティングケアに注力している事業所について積極的に調べることをおすすめします。