介護職に多い悩みの一つに、腰痛が挙げられます。老人ホームなど、日常的に身体介護を行っている施設では特に腰に負担のかかる動作が多くなりがちです。なぜなら、おむつ交換や体位交換を行う際には、前かがみになったり、中腰になったりしなければならないからです。また、食事や入浴の介助では、体をひねるような姿勢になることも少なくありません。さらに、入所者の介護度によって、一つ一つの動作に時間がかかるケースも多々あるため、そのような高齢者に接する場合は、介護職も長い時間立ったままの状態で待つことになります。実は立ちっぱなしで長時間じっとしていることも、腰にとっては負担がかかるといわれています。ですから、介護職は普段の動作を考慮した上で、腰痛予防を考えなければなりません。
そこで、まずおすすめしたいのは、腰にできるだけ負担をかけない姿勢を取ることです。たとえば、中腰は一番腰に負担がかかる姿勢なので、できれば中腰よりも重心を低くした姿勢を取るようにしましょう。そうすることで、腰の負担を軽減することができます。また、要介護者を抱きかかえる際には、前かがみの状態で持ち上げようとはせずに、重心を落として水平移動させるようにすると、体の負担が少なくて済みます。他にも、おむつ交換や体位交換などの際には、ベッドの高さを少し上げてから作業すると随分楽になります。
さらに可能であれば、福祉用具の活用も検討してみてください。たとえば、スライディングボードは、ベッドから車椅子などに移乗する際に役立ちますし、入浴介助の場合はリフトの利用が有効です。スタッフの多くが腰痛に悩んでいる場合は、施設の運営者に福祉用具の導入を相談してみてはいかがでしょう。